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【福祉学科 授業紹介】「福祉健康科学入門」 第14回「性の多様性を福祉の立場で考える」 

2022/07/27福祉学科

今回の「福祉健康科学入門」は性の多様性をテーマでした。いわゆるLGBTと表現されているあり方についてです。昨今、マスメディア等でも取り上げられますが社会福祉・介護福祉分野においても関心事として注目されています。

この授業はLGBTに関する理解を深めるというよりも、ジェンダーバイアスによって生じている「当たり前」や「常識」を問い直すきっかけにしてもらいたい思いで作りました。

 

大きくは生物学・・特に性分化の話題から話すことにしました。

私たちの身体の外観的、機能的特徴は男女に分類されるように思われますが、これらは人間の発生段階に目を向けるとそれほど明確な区切りがつくわけでもありません。いわゆる性染色体によって遺伝的決定をされるように思われる男女ですが、それ以外にもホルモンシャワーの多寡によって男女の特徴があいまいになることも知られています。また、脳についても男性脳、女性脳と明確なものがあるわけではなくモザイク状態の人の方がマジョリティであることも分かっています。

このような人間の発生段階を学んだあとに、社会的な性の枠組み(ジェンダー)の話につなげました。上記のように生物学的にあいまいな状態がその人にあるとしても、社会的な圧力によって強制的に異性愛の文化に押し込まれることがあります。これは近年や現代だけの特徴だけではなく、長年の人間の歴史の中で見つけることができます。

しかし、福山市をはじめ多くの自治体はいわゆるLGBTの人権問題に注目してきています。(同性)パートナーシップ制度や性別欄の撤廃がそうです。

 

ですが、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」や同性婚の訴訟に見られるように決して現代社会が多くの人にとって住みやすい社会を作り上げているわけではありません。それは、社会福祉・介護福祉の仕事をしようとする学生にとって知っておいてほしい知識でした。

社会福祉・介護福祉の学問分野は実践の学問です。そこには、目の前の人を理解する視点が必要です。その中には生物学を含めた視点も必要と私は考えています。ぜひ、一緒に福祉について考えていきましょう。

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