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福祉学科教員の研究紹介 ベトナムの福祉 中嶋裕子教授

2021/05/27福祉学科
福祉学科教員の中嶋先生の研究成果が、2020年3月に、『世界の社会福祉 第8巻東南アジア』「第4章ベトナム」旬報社にて発表されました。以下、中嶋先生のベトナムの福祉の研究についてお伺いしてみたいと思います!

Q1 ベトナムの福祉を研究しようと思ったきっかけについて教えてください。

学生時代よりアジアの国々に関心があり、国際協力の道を志していました。これまでにインド、ネパール、スリランカの福祉も対象として研究していましたが、この度は親密度を増すベトナムの福祉について着目したいと思いました。


Q2 ベトナムの福祉と日本の福祉の共通点や違いについて教えてください。

 共通点は、ベトナムも日本も家族を第一資源として国民、国家が認識しているところや相互扶助の精神が息づいている点です。つまりお年寄りを大事にする、困っている人がいたら助けるという互助の精神です。しかしながら近代化の波の中で、人間関係・家族関係に変化がみられるのも共通しています。
相違点は民間団体の活動の在り方です。日本には数多くのNGO(非政府組織),NPO(非営利団体)が存在しますが、ベトナムではNGOの定義が独特で、その活動は政府の傘下にあります。民間による自発的な組織活動は行いにくい現状があります。


Q3 福祉を学ぶ日本人の学生が国外の福祉を学ぶ意義はどういった点にあるのでしょうか?

 世界には福祉制度が国家によって整備され充実している国とそうではない国があります。様々な国々の現状、政策を知ることで、現在の学びはより深まり、今後、我が国の政策の在り方についてもより具体的に理解でき、新たな提言ができるようになると思います。また、諸外国への政策提案もできるようになることを期待しています。


Q4 日越交換公文(日越EPA)に基づくベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受入れが開始され、ベトナムからの受入れが平成26年度からそれぞれ行われています。福祉の領域においても、両国の関係は緊密になっていくのでしょうか?関係性はどうあるべきでしょうか?

ここ福山の介護保険施設にもたくさんのベトナムからの介護福祉士候補者がいらっしゃいます。共に働かれている日本人からも、彼らの真摯な態度や姿勢に大きな刺激を受けているという声がよく聞かれます。
候補生の方々が、介護先進国日本で、介助する側ではなく、介助される側を主として考える「介護技術」を習得し、被介護者への尊重の姿勢や潜在能力へのアプローチなどを学び、本国での介護分野のパイオニア・指導者になっていかれることを期待しています。


Q5 先生の国際福祉の研究の今後の方向性について教えてください。

コロナ禍において社会福祉・保障制度の充実がますます重要になってきています。我が国を含め、各国の状況をつぶさに見ていきながら何らかの発信ができるよう努力したいと思っています。
学生には国際的なソーシャルワークを意識した学びを提供できるよう努力します。

新世界の社会福祉シリーズ12巻の8巻「東南アジア」に「ベトナム」が掲載されています。https://gsw.junposha.com/

 

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