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【経営学科】【研究紹介】自己のアインデンティティを確立することの意味って?(小玉先生)

2021/12/20経営学科

私は一般企業に33年間勤務の後、大学教員になりました。
未だに企業人としての意見を求められることもあり、自分のアイデンティティは企業の現場にあるのか、それとも大学の研究室にあるのか、その時々の置かれた立場によって変えなくてはならないこともしばしばあります。
アイデンティティとは自分が何者であるかという問いに肯定的かつ確信的に答えられることです。
それでは、自己のアインデンティティを確立することにはどのような意味があるのでしょうか。

私が企業の従業員の相談業務を行っていた頃の話です。
ある日、自分の休みの日にまで仕事に出てきていたパートタイマーの女性が満面の笑みを浮かべながら、
「私ね、この会社のことが好きなんです。だから、全然苦にならないんです。それに、ほかの会社を探せば、もっと時給の高いところがあることだって知っていますよ。でもね、私の友達や主婦仲間もこの会社で働けていいねと言ってくれるし、この会社で働いていることは私の自慢の一つでもあるのですよ。かっこよく言うと、ここで働いていることは私の誇りなんです」
と話してくれました。笑顔と言葉がとても印象に残っています。
このことから、どうやら社会におけるアイデンティティは働く人や企業にとって重要なキーワードではないかと思えます。

それ以降、私は個人と組織の関係について、彼女との会話の中での登場した「誇り」「自慢」「外部評価」などをキーワードとして、組織アイデンティフィケーションの研究に取り組んでいます。
組織アイデンティフィケーションとは、
  「この会社では働いていることは私のイメージを決める大きな要因だ」
  「『あなたは(所属組織名)らしい人だ』といわれると、とてもうれしい」
などのように、会社の一員であることをポジティブに捉えていることです。
このように会社との関係を意識している人は、会社の成功や失敗を自分自身のものとして捉えるようになり、会社の目的のために努力を惜しまなくなるわけです。
組織アイデンティフィケーションを高めることは、会社にとってメリットがあります。

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