学科ニュース
【福祉学科】『あたりまえ』を問う
2025/12/16福祉学科
福山明王台高校にて「障害を足掛かりに『あたりまえ』を問う」
出張講義を実施しました。
先日、福山明王台高校にて「障害を足掛かりに『あたりまえ』を問う」というテーマで出張講義を行いました。本講義は、私たちが日頃「あたりまえ」として捉えている価値観や社会の仕組みを、障害という視点から問い直し、「あたりまえ」の枠組みが生み出す差別や排除に気づくことを目的としました。
講義はワークショップ形式で進め、生徒の皆さんには「遠慮」を捨ててたくさん発言し、周囲の人や自分自身と対話することを依頼しました。特に大切にしてほしいこととして挙げたのは、物事に対する「モヤモヤ」を感じ、そこから「たしかに!」という気づきを得ることでした。
まず、自分の内面化された価値観を洗い出すためのクイズを出題しました。生徒の皆さんからは、一般的なネガティブなイメージが共有されました。

次に、そのネガティブな感情が、障害を「その人自身に問題がある」と捉える「個人モデル」の考え方に近いこと、そして、「個人モデル」とは対極にある社会の仕組みに注目する「社会モデル」の視点をもつことの重要性を解説しました。
最終的には、社会を支える制度や価値観から生まれる「あたりまえ」という枠組みこそが、その枠から外れる人を異質化し、「変だ」と捉え、差別や排除を正当化してしまう構造になっていることを提示しました。
そして、「あたりまえ」という価値観は、多様な人びとが共に生きていくことを妨げる「障害」そのものとも言えると締めくくりました。
生徒の皆さんは、難しいテーマにも関わらず、終始楽しそうにワークショップに参加し、熱心に話に耳を傾けている様子が印象的でした。
※本稿で使用している写真は、福山明王台高校よりご提供いただいたものです。
